takkaaaan blog

多分色々書きます

「たまこラブストーリー」


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★10/10
 
一生に何度出会えるかは分からないけれど自分にとって大切な作品と出会う瞬間がある。何度見返しても良くて、観る度に好きなシーンが増えていく。そんな作品に出会った時の感情を言葉にするのはとても困難だ。少なくとも僕にとっては難しい。陳腐過ぎる感想だけど「だいすき」という言葉しか出てこない。もっと文才があれば良かったのだけど。
 
本当は「たまこラブストーリー」がどんな作品かという感想を書きたかった。というか何度か書いてはみたのだけど、とても纏まった文章にすることが出来なかった。
 
なので、申し訳無いんだけど凄く個人的な文章にならない感想を書いていくことになると思う。
 
たまこラブストーリーはその名の通りたまこの恋の物語だ。恋をするということは新しい自分に出会うということだ。たまこは自分の知らない自分に出会うことになる。つまりたまこが初めて恋を知るための物語だ。
 
そんなたまこにずっと恋心を抱いていたもち蔵が本当に凄く格好良かった。彼もまた新しい自分に変わっていく最中で、そのためにある決心をして告白をする。その告白の河原でのシーンの色使いが素晴らしかった。もち蔵がたまこへの気持ちを伝えることになるのと同時に風景の色使いも茜色からピンク色へと移り変わる。この心情の移り変わりと風景の色使いの変化がとても綺麗だった。この河原のシーンまではもち蔵のための話なのだろう。モノローグも彼の視点からだった。ただ、もち蔵が告白を決心してたまこを呼び止め、彼女が持っていた石(大好きなお餅に似た石をたまこは嬉しそうに拾っていたのだ)が河原に落ちた瞬間、物語は一気に動き出し、たまこの視点へと移る。この瞬間が何度観ても完璧な流れで鳥肌が立つ。
 
また、常盤みどりという登場人物がとても魅力的だった。彼女が動かなければ成立しない話でもあった。結果的にもち蔵を動かしたのもたまこの背中を押したのも彼女だった。だからこそ僕は彼女の格好良さの中にある普通の女の子の心に引かれてしまった。
 
みどりが感じる思いは決して言葉として吐き出される事は無い。だけど彼女の表情を見れば彼女が一体どういう気持ちだったのかは容易に気付くことが出来るはずだ。彼女の心の動きはとてもリアルで僕に近いものだった。本来たまこやもち蔵のような真っ直ぐな心を持っている人は少ないと思う。勿論その真っ直ぐさが胸を打つのだけれど。僕にとってはみどりの立ち位置の方が感情移入しやすかった。だからこそ、彼女が最後に決意してくれて良かった。またそんな彼女を友人のかんな(天才)が「良い表情してますよ」と救ってくれて良かった。最後にみどりが笑ってくれるから「たまこラブストーリー」は安心して物語を終える事が出来たのだ。
 
当たり前だけど、主人公であるたまこも凄く良かった。たまこが女の子として恋を知っていくのは見ていておかしな部分があって笑えるし、可愛いかった。「餅」という単語が全て「もち蔵」になってしまうのなんて可愛い過ぎる。ただ、彼女はもち蔵からの思いに戸惑っていて簡単に物事がスムーズに行く訳では無かった。たまこには「当たり前の日常」があって、その日常が変化しないものだと思っていたのだ。でも日常は変化していくものだ。その中で変わって欲しくないもの、大事なものは自分で必死に掴んで離さないようにしなくてはならない。たまこは不器用ながらもその答えをちゃんと見つける事が出来た。その工程が不器用だけど真っ直ぐでちょっと僕には眩しかった。
 
人が恋をする瞬間をアニメーションで描くことは決して簡単じゃない。フィクションであることが分かっているから。正攻法で作る事が難しい。
 
だからこそ、「たまこラブストーリー」は素晴らしい作品だと言える。正攻法で挑んでいるし、恋をするという熱量がしっかりと表現されていると思う。
 
たまこがもち蔵を好きだと意識するシーンがある。その瞬間のたまこの目の動きでたまこの気持ちを理解出来る。現実でもフィクションでも人の心の動きはよく見るとちょっとしたことで分かるのかもしれない。みどりがたまこともち蔵の二人がまだ気付いていない気持ちに先に気付いてしまったように。